動脈硬化が引き起こす主な病気

動脈硬化とは、内臓脂肪の増加に伴いコレステロール値が上がることで血管が傷つき、その傷口に脂質などが入り込みコブ(プラーク)ができてしまいます。これによって血管が硬くなることを動脈硬化といいます。歳をとると血管壁は弾力性を失い硬くなることも報告されています。
 動脈硬化が進行すると、血流によってコブが破裂して、それを修復しようとして血管内に血栓ができます。その血栓がはがれ血管を詰まらせることで血管が破れてしまします。ここでは、動脈硬化が引き起こす主な病気について解説します。

 

脳梗塞
脳内の血管が細くなったり、脳内の血管に血栓がつまり、脳への血流が途絶え、脳細胞が壊死してしまい様々な障害が生じます。


主な自覚症状は、 
 ・左右どちらか半身の手・足や顔がしびれたり動かしづらくなる 
 ・目まいがしたり歩きづらくなりふらつく
 ・ろれつがまわらない、言葉が出てこない
 ・嘔吐する
 ・物が見えにくかったり二重に見える

脳出血
脳に張り巡らされた血管に障害が起こる病気です。脳の血管が破れて血液があふれ出し、固まって「血腫」となって周囲を圧迫し、脳細胞を破壊して様々な障害が生じます。主な原因は、「高血圧」です。


主な自覚症状は、
 ・激しい頭痛
 ・嘔吐する
 ・左右どちらかの手足に麻痺がでる
 ・他人の言葉が理解できなくなり、意識が混濁する

大動脈瘤
大動脈瘤は、酸素の豊富な血液(動脈血)を心臓から受け取って全身に運ぶ、体の中で最も太い血管である大動脈の血管壁の一部が正常な径の1.5~2倍以上に拡張し、コブ状に膨れ上がった状態となり血管の破裂を招きます。



主な自覚症状は、
 胸部大動脈瘤が大きくなって周囲の臓器を圧迫するようになると
  ・声が嗄れる
  ・飲み込みにくくなる、食道圧迫を感じる
  ・肺の圧迫感がある、胸がつかえる

 食道が圧迫されると、
  ・ものが飲み込みにくくなる

 咽頭につながる神経が圧迫されると
   ・声がしわがれる

動脈瘤が破裂すると、激痛が生じ、胸腔内に出血しショック状態になり、喀血や吐血を生じます。

心臓系に生じる病気
心筋梗塞
心臓に酸素と栄養分を運ぶ冠動脈が詰まって血液が流れなくなって心筋に血液が届かなくなり、心筋が壊死してしまう病気です。


主な自覚症状は、
 ・脂汗が出るほどの激しい胸痛(胸が締め付けられるような圧迫感)
 ・呼吸が苦しいくなり冷や汗が出る
 ・吐き気がする

狭心症
心臓内の筋肉に血液を送り込む冠動脈が詰まって狭くなり、十分な酸素や栄養分が届かなくなる病気です。狭心症の原因のほとんどが動脈硬化です。


主な自覚症状は、
 ・主に胸の中央部から胸全体にかけてで、圧迫感(締めつけれらるような感じ)がある
 ・(まれに)背中や上腹部、左腕の内側が痛む

心不全
心臓のポンプ機能働かなくなって、充分な量の血液を全身に送れなくなります。また、肺や肝臓などに血液が滞って、呼吸困難やむくみ、動悸、などを引き起こします。

主な自覚症状は、
 ・呼吸困難になる
 ・呼吸困難から、疲れやすさや倦怠感がある

心不全が重症化すると呼吸がくるしくなります。寝ているときに急に息苦しくなる症状や、体を横たえていると呼吸が苦しいのに上半身を起こすと楽になる症状が出たりします。

心肥大
心肥大とは心臓の筋肉が厚くなり、心臓の機能が低下して全身に十分な血液が送り届けられなくなった状態です。
心肥大になると心臓の機能が低下し、不整脈などが起こり突然死を引き起こすこともあります。

主な自覚症状は、
 ・息切れし、疲れやすくなる
 ・動悸、息切れがして胸痛がおこる
 ・呼吸困難になる
 ・顔や足がむくむ
 ・食欲不振になり全身に倦怠感が起こる

腎臓系に生じる病気
腎硬化症
動脈硬化による高血圧などが原因で腎臓の血管の動脈硬化が進行し、腎臓の働きに障害ももたらします。
病気の進行が遅い良性腎硬化症と、急速に症状が悪化する悪性腎硬化症があります。
進行すれば腎不全のリスクが高まります。

主な自覚症状は、
 ・(初期の症状は高血圧に伴う)頭痛や動悸、肩こり
 ・(さらに悪化すると)むくみや倦怠感、食欲不振、貧血、息切れがある

腎不全
腎硬化症が進行し、体内から老廃物が排泄されなくなり腎機能の働きが低下する病気で、悪化すると人工透析が必要となります。

主な自覚症状は、
 ・尿回数が増える、量、色に異常がでる
 ・動悸、息切れ
 ・貧血
 ・発熱
 ・頭や背中、腰、腹部の痛み
 ・吐き気