中性脂肪とコレステロールのQ&A
Q.脂肪は何から作られるの?
A. 内臓脂肪などの体にたまる脂肪の原料は、摂りすぎた「糖質」や「脂質」です。体内で消費されずにあまった糖質や脂質は、肝臓に送られ「中性脂肪」が合成されます。中性脂肪は血液中を流れ、エネルギーを必要とする器官に向かうが、それでも消費されずにあまってしまうと「脂肪」として蓄えられます。 ついてしまった内臓脂肪を減らすには「糖質の摂りすぎ」に注意すること。原料になるのは、脂質より糖質の方が明らかに体脂肪になります。
また、糖質を摂ると、血液中の糖の量「血糖値」が上昇します。すると、ホルモンの一種である「インスリン」が分泌され、血液中の糖を脂肪にして蓄えようとします。血糖値を急激に上げさえしなければ、脂肪は溜まりにくくなります。よって、糖質を控えることがポイントとなります。
Q.脂肪にはどんな種類の脂肪があるの?
A. エネルギーとして消費される中性脂肪は、血液をドロドロにしながら体内を流れあと、が栄養を摂取できないという万が一に備え、体脂肪として備蓄されます。
体脂肪と呼ばれるものには、小腸を含み支えている腸間膜や内臓周りにつく「内臓脂肪」、皮膚のすぐ下につく「皮下脂肪」、臓器そのものや筋肉の細胞につく「異所性脂肪」があります。
このうち、ポッコリお腹の原因となる内臓脂肪には、皮下脂肪や異種性脂肪に比べ、「たまりやすいが落としやすい」と言う特徴があります。コツさえつかめば早期に落とすことができます。
Q. コレステロールって悪いものではないのですか?
A. まず脂質異常症の要素のひとつ、コレステロールは血液中に含まれる脂質のひとつです。人間の体は約60兆億個の細胞から成り立っていて、コレステロールは、この細胞の膜や神経細胞を作る材料として利用されています。
またコレステロールは、体の機能調整に深く関わるホルモンや食物の消化吸収に必要な胆汁の主成分である胆汁酸の材料としても利用されています。ホルモンがきちんと作られなければ、血圧、体温調整などの体の機能が低下して、病気になりやすく、胆汁酸がたりなければ消化吸収がうまくいかず、胃腸に負担がかかります。
コレステロールと、なんとなく体に悪いものと思ってしまいがちですが、コレステロールは体にとってなくてはならない大切な脂質なのです。
Q. コレステロールには善玉、悪玉があるはずですが?
A. コレステロールは肝臓で合成され、血液に乗って各臓器に運ばれます。使われなかったコレステロールは再び肝臓に戻り、新しいコレステロールを作る材料になります。肝臓から血液中に運ばれるコレステロールをLDLコレステロールをいい、血液から肝臓に運ばれるコレステロールを、HDLコレステロールといいます。
HDLは善玉コレステロール、LDLは悪玉コレステロールと呼ばれ、LDLは、動脈硬化をもたらす悪の元凶のように扱われてきました。しかし最近、真犯人は活性酸素により酸化したLDLコレステロールだと言うことがわかってきたのです。
LDLコレステロールが酸化されると、それを排除しようと免疫細胞が集まってきます。しかし免疫細胞は、酸化LDLを分解することができず、血管の壁に付着します。そしてこれが、動脈硬化を促進させるもととなってしまうのです。
Q. 悪玉より悪いコレステロールがいるって本当?
A. 最近、通常のLDLコレステロールより小さいコレステロールが存在することがわかりました。小型LDLコレステロールと呼ばれています。これは、本来のLDLコレステロールより酸化しやすいことから、超悪玉コレステロールと呼ばれています。
小型LDLコレステロールの詳しいメカニズムは明らかになっていません。しかし、小型LDLコレステロールが多い人は、心筋梗塞を発症するリスクが通常の3倍とまで言われています。
また、中性脂肪の多い人ほど、LDLコレステロールが小さくなっていることもわかっています。つまり超悪玉コレステロールは、中性脂肪が生み出しているのです。超悪玉コレステロールを減らすには、中性脂肪を減らす必要があるのです。
Q. HDL(善玉)コレステロールは低いといけないのですか?
A. コレステロールの取り過ぎは問題だというイメージがありますが、逆にHDL(善玉)コレステロールの不足こそ問題です。これが少ないと動脈硬化を起こします。
日本動脈硬化学会は脂質異常症の診断基準として、HDL(善玉)コレステロール40mg/㎗以下を、低HDLコレステロール血症と定めており、これはメタボリックシンドロームの検査項目にも入っています。60mg/㎗以上あるのが理想的です。
不足の原因のいちばんは運動不足です。運動することで、HDL(善玉)コレステロールを高めなければいけません。また、喫煙や肥満も不足の原因にあげられます。タバコを吸っている人はすぐに禁煙することがHDL(善玉)コレステロールを上げるために効果的な方法です。また、アルコールがHDL(善玉)コレステロール値を上げることもわかっています。お酒を飲むことはHDL(善玉)コレステロールを上げるためにはおすすめです。
Q. LDL(悪玉)コレステロールは高いといけないのですか?
A. LDLコレステロールは悪玉とも呼ばれ、嫌われ者ですが、細胞膜やホルモンの材料として必要な物質です。100mg/㎗異常なくてはいけません。またLDL(悪玉)コレステロールが低いと、がんにかかりやすいとも言われはじめました。
LDL(悪玉)コレステロールが多いと、動脈硬化に結びついて心配だという人が多いですが、そうではありません。LDL(悪玉)コレステロールが高くて動脈硬化になっている人は、じつはあまりいません。逆にHDL(善玉)コレステロールが低い人は確実に動脈硬化になります。LDLが高くても、HDLが高ければ問題ないのです。葉は、HDL、LDLコレステロールともほどよく高めがいいと言うことです。
動脈硬化は、HDL(善玉)コレステロールが低いことに加え、高血圧、高血糖、喫煙をする、ストレスがあるなどが、重なり合ったときに起こります。
Q. コレステロールが高かったら、薬で下げるの?
A.コレステロールを下げるのに、本来薬はいりません。しかし日本人はコレステロールに敏感です。悪玉コレステロールなどという表現が定着しているので、コレステロールが高いのは相当悪いイメージがあるようです。だから健診でちょっとでも高い値が出ると、下げてもらいに病院に行きます。
そして病院ではたいていスタチンという薬を処方します。しかしこの薬は、飲むと体がだるくなり、元気が出なくなるという副作用があります。それは、この薬がコエンザイムQ10をブロックしてしまうからです。コエンザイムQ10は、体内の細胞の活性を促すいちばん重要な酵素です。これがブロックされてしまうので、エネルギーが出なくなってしまうのです。
Q. 中性脂肪がたくさんあるのは良くないことですか?
Q. 中性脂肪を増やす食べ物はやはり「脂」ですか?
A. 炭水化物(=糖質)、タンパク質、脂質は、体に不可欠な三大栄養素といわれています。そのうち脂質は、当然体内で分解され脂肪になります。しかしそれ以外の栄養素にも、脂肪にかわるものがあるのです。
代表は炭水化物(=糖質)です。中性脂肪は、ご飯や麺類、甘いもので増えます。炭水化物(=糖質)はブドウ糖になり象徴で吸収されて血液中に運ばれます。血液中のブドウ糖は、エネルギーとして使われますが、余ると肝臓に運ばれます。肝臓は、運ばれてきたブドウ糖をもとに、新たな中性脂肪をつくります。
中性脂肪を増やすのは、脂質と思いがちですが、圧倒的に炭水化物(=糖質)なのです。中性脂肪を減らすには脂質を控えても意味がありません。炭水化物(=糖質)の摂取量を抑えなければ、中性脂肪を減らすことはできません。
Q.脂肪肝かどうか、チェックする方法は?
A.健康診断の血液検査でALT(GPT)20以上は脂肪肝です。この数値は、肝臓の状況を表しています。脂肪肝かどうかチェックするにはこの項目の数値がいちばん重要なのです。
基準値は10~30IU/Iとされていますが、通常、17で肝臓に脂肪がたまり始め、20を超えると、ほぼ脂肪肝の状態と考えられます。あなたが20以上だったら、すぐに医療機関を受診して下さい。おなかのエコーをやってみるとわかりますが、ALT(GPT)が16の状態では、まだ肝臓に脂肪がついてはいません。しかし17になると、脂肪がつき始めます。ですから、20以上はすでに危険信号だと言われています。
Q.脂肪肝でもお酒を飲まなければ大丈夫でしょうか?
Q.脂肪肝から発症する病気はほかにもあるのですか?
A .脂肪肝は脂質異常症も引き起こします。
脂質異常症のほとんどの場合、生活習慣の乱れが原因で起こります。炭水化物(=糖質)の多い食事や野菜不足など乱れた食習慣は、血液中の脂質のバランスを崩す要因になります。食事だけでなく、運動不足やストレス、喫煙もよくありません。体を動かさないと脂質は消費されず、血液中にたまったままとなります。ストレスは暴飲暴食につながり、血液中の脂質をふやしてしまいます。喫煙することにより、タバコに含まれる有害成分が体内に入り血管を傷つけ、脂質異常症から動脈硬化に進行します。
また、家族の中に動脈硬化による病気の人がいる場合は、家庭の生活習慣そのものが脂質異常症になりやすい傾向にあります。原因を探し、家族全員で生活を見直し、改善していくことが重要になります。
Q.脂肪肝は糖尿病も引き起こすと聞きましたが?
A.脂肪肝、脂質異常症と糖尿病は原因がみな同じ。
たしかに、脂肪肝は糖尿病も引き起こします。脂肪肝、脂質異常症、糖尿病は、同じ原因で起こります。
糖尿病は、すい臓から分泌されたインスリンという血糖を低下させるホルモンが、不足したり、働きが低下したりして、血液中のブドウ糖濃度=血糖値が慢性的に高くなる病気です。糖尿病のこわさは、余ったブドウ糖により血管が傷つき、動脈硬化がどんどん進行してしまうことにあります。動脈硬化は、心筋梗塞や狭心症、脳梗塞や脳出血などの重篤な病気を知らず知らずのうちに招いてしまいます。
また、糖尿病は、三大合併症といわれる網膜剥離、腎症、神経障害を同時進行的に引き起こします。最近では、アルツハイマー型認知症や歯周病の原因にもなるということも明らかになっています。
Q.脂質異常症からどんな病気になっていくの?
A.脂質異常症は動脈硬化の危険因子
脂質異常症は、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞、脳出血など、動脈硬化が原因で起こる重篤な病気の危険因子です。
危険因子とは、病気を引き起こしたり、悪化・進行させる要因です。脂質異常症という危険因子がひとつあると、危険因子が全くない人と比べて、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞や脳出血が起こる危険度が5.1倍になるという報告もあります。しかし、脂質異常症だけが危険因子になるのではなく、他にも高血圧、糖尿病、肥満があり、これを4大危険因子と呼んでいます。このうち2つが重なると危険度は、9.7倍に、3~4つが重なると危険度は31.3倍に跳ね上がります。
中でも高血圧は、脂質異常症と並んで重大な危険因子で、この2つが合併すると、動脈硬化の進行にいっそう拍車がかかります。
Q.脂質異常症は他にもどんな病気を引き起こしますか?
A.●すい炎
すい臓は胃の後ろにある小さな臓器です。すい液という消化酵素をたくさん含んだ消火液をつくり、十二指腸に分泌して、胃で消化された食べ物をさらに分解していきます。このすい液がすい臓自身を消化しようとするのが急性すい炎です。40~50歳代以上の男性に多く見られます。軽い腹痛だけですみますが、重いとおなかや背中を激痛がおそいます。呼吸困難やショック状態になることもあります。
●胆石
胆のうと肝臓などをつないでいる管を胆管といいますが、ここにできる硬い結晶を胆石といいます。胆石には、コレステロールを主成分とするコレステロール系結石があります。体内の消化しきれなかったコレステロールが結晶化すると考えられます。
Q.動脈硬化ってどんな病気ですか?
A.動脈硬化とは、動脈の血管壁がしなやかさを失って、堅くなった状態をいいます。本来血管は、ゴムホースのように柔らかく、伸び縮みします。血管に柔軟性があるから血液がスムーズに流れ、体内に酸素や栄養を十分に行き渡らせることができます。ところが、年齢とともに血管が厚く堅くなっていきます。
こわいのが、動脈硬化がすすんでますます血液が流れにくくなると、血管が詰まってしまい、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞や脳卒中といった、命にかかわる重篤な病気にいたるということです。
LDL(悪玉)コレステロールが高く、HDL(善玉)コレステロールが低い人、中性脂肪が高い人などが動脈硬化を起こしやすい人といえます。さらに、そこに脂肪肝、糖尿病、高血圧、喫煙などの危険因子が重なると、動脈硬化の発症率は急激に高まります。
Q.動脈硬化が進行するとどんな病気になっていくのですか?
A. 心臓の血管で動脈硬化が起きると、危険な心臓病を引き起こします。
心臓につながる冠動脈で動脈硬化が進むと、血管の内側が狭くなり、血液が流れにくくなります。一時的に心臓に血液がいかなくなってしまった状態が狭心症です。
動脈硬化によってしなやかさを失った血管は、血栓とい血のかたまりが詰まりやすくなっています。血栓によって血液の流れがせき止められてしまい、心臓の筋肉に酵素と栄養が届かなくなった状態が心筋梗塞で、最悪の場合命を落とします。
厚生労働省の報告では、BMIが30以上の肥満男性は、狭心症や心筋梗塞など虚血性心疾患の発症リスクが30未満の人に比べて1.8倍高いとされています。さらに、高血圧、高血糖などの危険因子は、狭心症や心筋梗塞の発症リスクを格段に高めます。危険因子がひとつなら5.1倍、ふたつなら9.7倍、3~4つ重なると31.3倍に跳ね上がります。
Q.心臓の病気がわかる何か予兆はありますか?
Q.心臓意外に動脈硬化が起こす病気はありますか?
A. じつは、動脈硬化の影響をもっとも強く受けるのは、脳の血管です。危険な脳の病気も動脈硬化の進行によって引き起こされます。
動脈硬化によって脳の血管に血栓がたまり、血液がその先の脳細胞に流れなくしてしまうのが「脳梗塞」です。太い血管が詰まると運動障害や感覚障害、言語障害が起こりやすく、細い血管が詰まると認知症などの病気を合併しやすくなります。
「脳出血」は脳の血管が破れ、出血した血液が固まって血腫ができ、それが周囲を圧迫して脳に障害をもたらします。脳出血の中でも、脳の動脈の一部が破れて脳の表面に出血する「くも膜下出血」は、とくに死亡率が高いことで知られています。
日本人の主な死因をみてみると、トップはがんですが、2位は心臓病、3位は脳の病気です。2位3位のどちらとも動脈硬化によって引き起こされる病気なのです。
Q.動脈硬化でほかの血管が詰まったらどうなるの?
A. ●大動脈瘤・大動脈解離
大動脈という心臓からつながる直径約3cmの太い血管があります。この血管の内壁が動脈硬化によって詰まり、コブのように盛り上がった状態を大動脈瘤といいます。コブが大きくなって破裂すると、命に危険が及ぶこともあります。また、この血管の内側の膜が破れ、底に血液がたまった状態を大動脈解離といいます。大動脈解離は突然発症し、胸や背中に激痛が走ります。命を落とす危険性が高い病気です。
●閉塞性動脈硬化症
細い動脈や末梢血管に動脈硬化が起こり、血流が悪くなる病気を閉塞性動脈硬化症といいます。足に起こることが多く、足の冷えやしびれ、歩行時の足の痛みなどの症状がでます。動脈が完全に塞がってしまうと、その部分が壊死してしまう可能性もあります。
●大動脈瘤・大動脈解離と閉塞性動脈硬化症
Q.内臓脂肪を減らす食生活はどうすればいい?
A. 脂肪を減らしたい人は「糖質ちょいオフ」がおすすめです。中性脂肪は主に糖質から作られるので、糖質を多く含む食品を「これまでの量から約15%減らす」のです。ゼロにすると体が脂肪をため込もうとし、脂肪肝の原因になるなど逆効果です。
糖質は、ごはんやパン、めん類などの「主食(炭水化物)」じゃがいもやさつまいもの「イモ類」、「砂糖を多く使った食べ物や飲み物」、「米や小麦をつかったお菓子」、甘みの強い「果物」などに多く含まれています。
1日に摂取する糖質量の目標値は、「男性で250g」「女性で200g」です。ごはんであれば1口分、パンやめん類なら全体の10分の1~2を残す(減らす)ようにしましょう。
またさらに効果を上げるために有効なのは「食べる順番」を工夫することです。脂肪を増やさないコツは、「血糖値の急上昇」を避け、「インスリンの大量分泌を防ぐ」ことです。
最初に血糖値を上げない「たんぱく質(肉や魚、大豆製品など)」をたっぷり摂りましょう。次に糖質の吸収を緩やかにしてくれる「食物繊維(野菜など)」を、最後にごはんやパンなどの糖質を摂ります。お腹がいっぱいで主食が入らないという場合は、糖質の量を減らしてOKです。
もう1つ、主食の炭水化物は玄米やもち麦、ライ麦パンや全粒粉パンなど、食物繊維が豊富な「茶色っぽいもの」を選ぶようにするのも効果的です。食べ応えに加え、血糖値の上昇も抑えてくれ、一石二鳥です。
Q.脂肪をためない食べ物ってあるんですか?
A. 食べ物を食べて血糖値が急激に上がると、すい臓からのインスリンが大量に分泌されます。インスリンは、エネルギーを脂肪に変えてためるため、体内に脂肪がどんどん蓄積されてしまいます。脂肪を増やさないためには、インスリンをあまり分泌させないこと、そのためには、血糖値を上げない方がいいということになります。
そこで活用したいのが、グリセミック・インデックス(GI)です。食品のGI値を利用して食事中の血糖値の上がり方をコントロールする方法です。
GI値とは、食べたときの血糖値の上がるスピードを。食品ごとに数値化したものです。GI値が高い食品ほど血糖値の上がるスピードが速くなり、低い食品ほど血糖値はゆっくりと上昇します。血糖値の急激な上昇を防ぐためには、GI値の低い食品を食べることです。
GI値の低い食品を選んで食べるようにすることをおすすめします。
Q.中性脂肪を増やす食べ物はやはり脂ものでしょうか?
A. 体内で必要な栄養素は、バランス良くとることが大切です。理想は、炭水化物(=糖質)を60%、たんぱく質を15~20%、脂質を20~25%という割合です。ただし炭水化物(=糖質)は、知らぬ間に取り過ぎていることが多い栄養素です。
中性脂肪という名前から、控えるべき物は脂質と誤解している人がかなりいます。しかし実は、体に脂肪をためる犯人は炭水化物(=糖質)だったのです。
脂肪をため込む原因は、肥満、糖尿病、お酒の飲み過ぎとされてきました。しかしそれでは説明のつかない脂肪が昔から存在していました。そして、その原因として浮かび上がったのが、炭水化物(=糖質)のとりすぎだったのです。中性脂肪が高いということは、炭水化物(=糖質)の摂取量が多いということです。炭水化物(=糖質)の取り過ぎは、HDL(膳玉)コレステロールを下げ、動脈硬化を促進させることになります。
Q.中性脂肪を減らす良質な脂は何?
A.青背魚やサバ缶で中性脂肪を減らす。
サバやイワシ、アジ、サンマといった青背魚には、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)という良質な脂が多く含まれています。中性脂肪を減らす働きが特に強いのは、EPAで、1日600mgのEPAを12週間摂取し続けると、血中における中性脂肪が20%低下するという研究結果もあります。また、HHAとEPAを6週間とり続けると、内臓脂肪が減少するということもわかっています。
DHAやEPAは体内で生成できないため、食べ物から摂取する必要があります。中でもサバ缶はDHAとEPAの1日の摂取目安を1缶でほぼクリアできるので大変おすすめです。
DHA(ドコサヘキサエン酸)
体内では合成できない必須脂肪酸の一種で、青背魚に多く含まれます。脳神経の情報伝達を活発にして、考えたり覚える力を維持するのに役立ちます。
EPA(エイコサペンタエン酸)
DHAと同じく体内で合成できない必須脂肪酸の一種です。中性脂肪を下げる、血管・血液の健康を維持する、動脈硬化を防ぐなど、さまざまな健康効果があります。
Q.フルーツは体にいいと昔から言われていますが?
A. 「フルーツはヘルシーだ」という認識が変わろうとしています。フルーツに含まれる果糖は血糖値をあまり上昇させず、インスリンの分泌も増えません。ところが果糖は、分解されることなく速やかに肝臓へ運ばれ、脂肪になってしまうのです。
最近、「酸化」とともに「糖化」と言う言葉が注目され始めています。糖化とは、果糖やブドウ糖などの糖質が、血管や皮膚のたんぱく質と結合して、老化の原因となる反応を起こすことです。血液中に糖質が多いと老化が起こりやすくなり、動脈硬化や皮膚のシワ、たるみの原因のひとつになると考えられています。
フルーツに含まれる果糖は、ブドウ糖に比べ10倍も糖化しやすい糖質であると言われています。健康にいいと思って、フルーツをたくさん食べると、老化を進めてしまう可能背があるのです。甘いフルーツには、危険なワナが隠されているのです。
Q.ビタミンって、どう体に良いのでしょうか?
A. 活性酸素の害が、しばらく前から注目されています。活性酸素は強力な酸化力を持つ酵素です。LDL(悪玉)コレステロールが活性酸素によって酸化されると、動脈硬化が進行します。しかし私たちは、活性酸素の存在を知るずっと以前から、ごく自然にその害から身を守るすべを知っていました。それが毎日の食事からとっている抗酸化物質です。
赤ワインやお茶に含まれているポリフェノール、緑黄色野菜の天然色素であるカロチノイドやフラボノイド、アントシアニンなどが、抗酸化物質の代表的なものです。とくにβカロテン、ビタミンC、ビタミンEの3大抗酸化ビタミンは、活性酸素を除去して、LDL(悪玉)コレステロールの酸化を防ぐ作用があるので、動脈硬化の進行を防ぐ働きがあります。
つまり、ビタミンは活性酸素の掃除人なのです。
Q.抗酸化力をもつビタミンについて教えて?
A.
●β-カロテン
β-カロテンは、体内に取り込まれると、必要に応じてビタミンAに変わり、強い抗酸化力を発揮します。
また、皮膚や粘膜を丈夫にして免疫細胞の働きを活性化します。とくに、緑黄色野菜には、豊富に含まれています。油と一緒にとると、吸収率がアップします。また、ビタミンEといっしょにとると、抗酸化パワーが倍増します。
●ビタミンC
抗酸化ビタミンの代表です。また、ストレスへの抵抗力を強める作用があることから、ストレス対抗ビタミンとも呼ばれています。さらに、体の免疫力を高めたり、血圧を下げる作用など、多くの働きを持つ栄養素です。ビタミンCは水に溶けやすく、熱に弱いという性質があるため、なるべく新鮮なものを生で食べるようにしましょう。
●ビタミンE
抗酸化力が非常に優れているビタミンで、細胞膜を構成する脂質が、活性酸素によって酸化されるのを防ぎます。また、皮膚や粘膜の再生にもかかわり老化を防ぎます。このことから、ビタミンEは、老化防止のビタミンともいわれています。ほかにも血流をよくしたり、発がん物質を抑える作用など、健康への様々な効果が期待されています。
●ビタミンB群
抗酸化ビタミンではありませんが、ビタミンB群も動脈硬化の予防には重要なビタミンです。ビタミンB群は、8種類のビタミンの総称で、糖類や脂質、たんぱく質を体内で消費するときに補酵素として働きます。エネルギーの代謝に深く関わるビタミンのため、動脈硬化だけでなく、肥満の予防にも効果があります。
Q.ミネラルという栄養素について教えて?
A. ミネラルは、骨や歯などの構成要素になったり、新陳代謝などの生理機能を正常化させるなど、体の維持や機能調整に欠かせない微量栄養素です。主要ミネラルと微量ミネラルをあわせ、合計16種類あります。
中性脂肪が高い人が摂取したミネラルには、コレステロールや中性脂肪を正常に保つクロム、脂質や糖質の代謝にかかわるマンガン、酵素を活性化するマグネシウム、コレステロールの蓄積を防ぐ亜鉛、脂質の酸化を抑制するセレンなどが挙げられます。
ミネラルの必要量はわずかですが、体内では合成することができないため、日々の食事から摂取しなければなりません。また、リンを取り過ぎるとカルシウムの吸収が低下、ナトリウムの取り過ぎはカリウムを体内に蓄積させるなど、複数のミネラルが互いに影響し合っているものもあるので、いろいろな食品からバランス良くとる必要があります。
Q.お酢はダイエットにいいと聞いたが本当?
A.毎日15㎖のお酢を摂り続けると「中性脂肪値と内臓脂肪値が減る」ということが近年科学的に解明されました。
大手醸造メーカーのみつかんの試験では、「肥満気味の人が毎日大さじ1杯のお酢を含む飲料(500㎖)を朝晩2回に分けて摂り続けたところ、12週間後には中性脂肪の値が平均約19%、内臓脂肪の数値が平均で約5%減少」しました。お酢の主成分である酢酸には、脂肪の合成を抑制して、燃焼を促す作用があったのです。
お酢の健康効果を得るには、毎日大さじ1を摂り続けるだけでOKです。飲む場合は5~10倍に薄めて飲むことで、のどや胃の粘膜が荒れてしまうのを防いでくれます。お酢の健康効果は、摂り続けている間は持続しますが、やめてしまうとそこでストップするため、毎日摂り続けることが大切です。
また、「緑茶」にも血糖値の上昇を抑えて体脂肪を減らす効果があることが分かっています。緑茶の健康効果の中心は「茶カテキン」の働きですが、それ以外にもテアニン、ビタミンC・E、βカロテン、食物繊維、コエンザイムQ10など多くの有効成分が含まれています。
緑茶を入れたときに抽出される有効成分は約30%ですが、茶葉を食べると70%まで摂取できるので、茶葉を食べることもおすすめです。
Q.チョコレートなどの甘いものは内臓脂肪の大きな原因?
A. チョコレートに含まれるカカオ成分が脂肪の蓄積を抑制します。
脂肪、特に内臓脂肪を落とすために取り入れたいのが、カカオ成分を70%以上含む「高カカオチョコレート」です。
チョコレートの主成分であるカカオが、内臓脂肪、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの改善に効果があることが明らかになりました。
体脂肪撃退には高カカオチョコが有効な理由のひとつは、血糖値の急上昇を防ぐ「低いGI食品」であり、食前に摂取すればインスリンの大量分泌を防ぎ、脂肪の合成を防いでくれることです。
加えて、難消化性で大腸まで届き、便通の改善にはたらく「カカオプロテイン」、野菜や豆より豊富に含まれる「食物繊維」、高い抗酸化作用で細胞を守る「カカオポリフェノール」などが、脂肪燃焼と健康を後押しするのです。
高カカオチョコは、「朝昼夜の食前と食間に1枚(5g)ずつ食べる」のが効果的です。食前の摂取では、血糖値の急上昇を防ぎ、食物繊維が糖質の吸収を緩やかにしてくれます。食間の摂取では、穏やかに中枢神経を刺激するカカオ成分「テオブロミン」がリラックス効果をもたらし、なおかつ食欲を抑制してくれます。
スーパーなどで購入できる高カカオチョコは、活用しやすい1枚5gまでで個装されている物が一般的です。忘れずに1日5枚を食べて、からだをスッキリさせましょう!
Q.糖質の多いお米より麦の方がよい?
A.主食を大麦入りご飯に置き換え全粒粉穀物の活用も効果的です。
内臓脂肪面積を減らす食材として注目が高まっているのが「大麦」です。この健康効果の主役は、大麦に含まれる水溶性食物繊維「大麦βグルカン」です。この大麦βグルカンには、食後血糖値の上昇を抑制する、コレステロール値を正常化する、腸内環境を整えるといった働きがあることが確認されています。
大麦には、「うるち性」と「もち性」があり、近年脚光を浴びた「もち麦」はもち性の大麦のこと。食感をよくしたり、調理をしやすくするために書こうされた「押し麦」「丸麦」「米粒麦」なども大麦の一種です。いずれもお米に混ぜて炊くほか、そのまま炊いて食べることもできます。
大麦製品と同様にβグルカンを豊富に含むのが「オートミール」です。オートミールは全粒穀物の玄米と比べて、3倍以上の食物繊維を含んでいます。
大麦やオートミールの健康効果を得るためには、主食を大麦入りご飯やオートミールなどに置き換えるのが一番です。その上でこれまでの主食の量よりも15%減らした「糖質ちょいオフ」をすれば、より高い効果を得られます。副菜でも、食物繊維が豊富な海藻やきのこを毎日食べることができるなら糖質の吸収がゆるやかになり、より体脂肪に効果的です。
Q.脂肪がいちばん蓄積される時間帯はある?
A. 体脂肪を減らしたいあまりに、食事の回数を減らすのは逆効果です。食事と食事の間があきすぎると、体内が一時的に飢餓状態となり、次に食事をしたときに摂取した栄養の吸収を急いでしまい、血糖値の上昇につながります。
ベストは、適量の糖質を含め、1日3回きちんと食事をとること。朝食を食べないでいると、夜に食べ過ぎてしまい、脂肪を増やしてしまいます。朝はコップ1杯の牛乳でもいいので栄養を摂取してから活動を始めましょう。
加えて、夕食はなるべく夜7時までに食べ終えるのが理想です。脂肪燃焼を促す「成長ホルモン」は、午後10時~午前2時に多く分泌されますが、このとき胃に食べ物がたくさん残っていると、分泌されにくくなってしまいます。午後10時までには消化を終えられるように、夜7時までに食べ終わるのがよいのです。
また、午後10時~午前2時は、中性脂肪の合成を促して体脂肪をため込む働きがある「BMAL1」というたんぱく質が増える時間帯でもあります。「BMAL1」が多い夜の間にたくさん食べると、その分だけ脂肪が増えると考えて下さい。昼の2時頃に比べ夜の10時では「BMAL1」の量が20倍にのぼることがわかっています。同じメニューを食べるにしても食べる時間帯によっては、特に夜遅くなればなるほど太りやすいのは、この「BMAL1」のせいだったのです。
どうしても夕食が遅くなってしまう場合は、夕方と夜遅くで、夕食を2回に分けるのもおすすめです。すべてを夜遅くとるよりもは悪影響がでないですみます。ただし、1回の食事の量には注意してください。夕食の量を倍にしてしまうようでは、体脂肪が増え続ける一方です。